診療紹介 (2015年3月31までの情報です。)
 
 
診療内容の紹介です。
(随時更新する予定です。)

 
当院では一般内科を主な診療科目としていますが、実際の患者さんは多岐にわたります。感冒やインフルエンザ等の急性疾患の患者さんもそれなりに多いのですが、日常の診療ではいわゆる慢性疾患の患者さんが多く受診されます。老人人口の増加に伴い認知症の患者さんも目立つようになり、認知症診療にも力を入れています。
 慢性疾患の詳しい説明は他所においていたしますが、最近話題になることの多いメタボリックシンドロームに関係した、糖尿病、高コレステロ-ル血症や高血圧症などいわゆる動脈硬化を起こす疾患。気管支喘息やたばこによって肺が痛むことによって引き起こされるCOPDといった呼吸器疾患。高齢女性に多く発症する骨粗鬆症や、変形性膝関節症などの整形外科的疾患。ここ数年学会などでも多く取り上げられることの多い慢性腎臓病や腎性貧血などの患者さんも多く診療しています。
 全ての疾患を取り上げることは出来ませんが、代表的な疾患に関して当院での診療をご紹介してゆきます。

1.認知症
 
認知症は脳の老化によって起こってくる老化現象の一つであり、”痴呆”ではありません。老化に伴う体の変化によって脳がダメージを受けることによって脳機能が低下し日常生活に困るようになった状態をいいます。
老化に伴う変化は脳神経そのものが老人性変化で壊れて行く神経変性疾患性認知症と、血管が動脈硬化によって血液の流れが悪くなり脳神経が障害を受けることによる脳血管性認知症が多く、その他全身性疾患に伴う場合がしばしば見られます。
 最近認知症で話題になうことが多いアルツハイマー型やレビ-小体型認知症は、神経変性疾患性の認知症です。このタイプの認知症は脳や神経に異常なタンパク質が蓄積することで、脳細胞や神経が障害を受死んでゆく事で起こります。認知症の症状がが出現するかなり以前から異常なタンパク質の蓄積が起こると考えられています。そのため症状が出現してからでは脳や神経のダメージを回復させるのは困難です。

認知症診療
 当院での認知症治療はコウノメソッドに基づいた治療法を行っています。詳しくは認知症のページを参照してください。
   

2.動脈硬化性疾患

 高血圧症や高コレステロール血症、糖尿病などは何故治療が必要なのでしょうか?正面から問いかけられて答えられない患者さんが意外に多いのです。「何となく体に悪いから」薬を飲むといった患者さんが多いのではないでしょうか。
 これらの疾患は血管を傷め結果として動脈硬化を来たして血管が詰まりやすくなり、脳や心臓を養う動脈が詰まることにより脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な動脈硬化性疾患の原因となります。そのためこれらの疾患は動脈硬化を起こす疾患でありその治療の大きな目的は脳梗塞・心筋梗塞の予防といえます。
 実際に動脈硬化があるかどうかを直接患者さんで調べることは以前は大学病院や専門の病院でなければ出来ませんでした。現在では頸動脈の超音波検査やABI検査(足関節上腕血圧比)やCAVI(PWV)検査(脈波伝播速度)といった検査法で比較的容易に動脈硬化の程度を調べることが出来るようになっています。豊頃医院でも積極的に患者さんの動脈硬化をチェックしての脈硬化性疾患の予防に役立てています。ご希望の患者さんはいつでも検査できますのでお気軽に当院スタッフに声をかけてください。

治療:
 高血圧症や高コレステロール血症はいまだに原因のはっきりしない疾患です。従って治療は対症療法として血圧降下剤やコレステロール合成阻害薬が中心となります。最近の薬剤の進歩によって十分な治療効果があります。

<糖尿病>
 糖尿病で苦労されている患者さんは多いと思います。豊頃医院では食事療法を中心とした治療法(糖質制限療法)で十分な成果をあげています。糖尿病患者さんの90%以上が治療目標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)6.5%(JDS)以下を達成しています。(2013年度の糖尿病治療成績
 豊頃医院では患者さんの耐糖能(ブドウ糖を代謝する能力のことをいいます。)を調べ、患者さんの糖質代謝能力に見合った食事のアドバイスを行い、基本的には食事療法での管理をめざしています。食事療法の基本はブドウ糖の基になる炭水化物(糖質)の摂取量のコントロールです。糖質の摂取管理が不十分であると糖尿病における血糖値のコントロールが難しくなります。十分な食事療法でも血糖管理が出来ない場合に初めて薬物療法を行うことになります。その場合は、患者さんの血糖上昇の原因に沿った薬物療法を行います。(糖尿病治療: 院長の考え方)


3.呼吸器・循環器系疾患
 豊頃医院では院長が呼吸器内科の専門医であるので呼吸器系の疾患の診療に力を入れています。

<気管支喘息>
 気管支喘息は小児から老人までほぼ全世代が罹患する慢性疾患です。多くの方が気管支喘息は「風邪がひどくなるとなる病気」ぐらいの認識であることが多いのですがそうではありません。
 気管支喘息はアレルギーを主とした気管支の慢性炎症によって引き起こされる慢性疾患なのです。詳しくは別に解説しますが、喘息による炎症がひどくなると気管支上皮でのむくみがひどくなります。その結果気管支の内腔が狭くなり、同時に気管支の収縮が起こりさらに気管支内腔が狭くなります。こういう状態になるとゼーゼーヒーヒーといった喘鳴や夜眠れないほどの咳といった喘息発作となります。治療によって炎症が軽くなると気管支の収縮やむくみが改善されて気管支の内腔は元の状態となりほとんど自覚症状が消失してしまいます。自覚症状が無くても気管支には喘息の炎症が種火のように残っていて、風邪による気管支炎やアレルギー反応などによって刺激されると気管支の炎症が激しくなって再び喘息発作を起こします。
 小児喘息は15歳くらいまでに半数くらいが自然に消えしまうことが知られていますが、気管支喘息は自然に消えてしまうことはほとんど無く慢性的に続くため、子供から老人までの慢性疾患なのです。
 最近の調査では気管支喘息の患者さんは予想以上に多く、生涯罹患率は全人口の30%以上になるのではないかともいわれています(The Lancet 2011; 378:991-996) 。豊頃医院では気管支喘息の患者さんは300人以上通院しています。

検査:
 咳を訴える患者さんは意外と多くその中には喘息の患者さんが多く含まれていることが知られていますが、通常の呼吸機能検査では陽性の判定が得られることが少なく診断に苦慮することが多いことが問題でした。豊頃医院ではそのような患者さんでも比較的鋭敏に調べることが出来る、FOT(モストグラフ)検査を行っています。
 この検査は従来の呼吸機能検査と違い、気管支の抵抗その他を安静時に測定するため子供や老人でも比較的容易に測定することが出来気管支喘息の診断に成果をあげています。新しい検査機械なので全国的で100台程度しか使われていませんが、とても有用な検査法なので一般的に使用できるようになるよう現在研究会での検査結果の発表等取り組んでいます。

治療:
 現在行われている吸入ステロイド療法が普及するまでは治療に難渋することが多かったのですが、気管支喘息はきちんと治療すれば十分コントロール出来る疾患となっています。豊頃医院では中等症以上の喘息患者さんには積極的に吸入ステロイド療法を行って治療効果を上げています。

<たばこ病>
 たばこ病対策で禁煙指導やCOPDの診療にも熱心に取り組んでいます。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は主に喫煙によって引き起こされる肺の病気です。喫煙によって肺に炎症が起き肺の組織が壊されます。そのため進行すると肺がぼろぼろの状態になり、気管支が細くなり呼吸が妨げられるようになります。そうなると運動時に呼吸が苦しくなる労作時呼吸困難が出現します。さらに進行すると安静時にも呼吸が苦しくなり常に酸素吸入が必要となり在宅酸素療法が必要となります。COPDは喫煙者の40%程度の人が発症するといわれています。

検査・治療:
 たばこ病の対策はなんといっても禁煙です。豊頃医院では禁煙外来を十勝で最初にスタートさせて禁煙に熱心に取り組んできました。COPDは呼吸機能が損なわれる疾患で診断は呼吸機能検査によって行われます。一生懸命呼吸して一秒間に肺活量のどのくらいはけるか(一秒率といいます)が70%を以下となるとCOPDと診断されます。胸のレントゲンやCT検査は参考になりますが補助的な診断法となります。
 治療法は気管支喘息と同様に吸入薬が主となります。近年薬剤の開発が進み効果的な吸入薬が次々と使用できるようになっています。COPDは治らない病気ですが以前に比べ治療によって著明な症状の改善が得られるようになっています。

<他疾患>
<循環器疾患>
 循環器系疾患では前述した高血圧症が一番多い疾患です。不整脈や狭心症、慢性心不全の患者さんも多く診療しています。最近話題になることの多い心房細動という脳梗塞を起こしやすい不整脈での脳梗塞予防治療も積極的に行っています。

4.整形外科的疾患
 豊頃医院は主として内科系の疾患を診ていますが、人口の高齢化に伴って増加している骨粗鬆症や変形性膝関節症、腰部脊椎管狭窄症といった整形外科的な疾患に対する診療も行っています。
 骨粗鬆症は主に閉経後の女性に起こってくる病気です。女性は閉経後女性ホルモンの分泌が極端に低下するため、骨においては破骨細胞という骨を破壊吸収する細胞の働きが増大します。それに対して骨芽細胞という破骨細胞が壊した骨を元に戻す働きをする細胞には変化が無いため結果として骨破壊>骨再生の状態となり、時間経過とともに骨の量がへってゆきます。その結果骨が薄くなる骨粗鬆症になるのです。閉経後に女性ホルモン分泌が減少するのは生理的な誰にでも起こることなので骨粗鬆症は病気というより老化現象といった方が適切であるともいえます。骨粗鬆症の治療は現在では破骨細胞の過剰な働きを抑える薬物療法が主ですが、最近骨の量を増加させる治療法が開発されています。豊頃医院では昨年からより精度の高い骨密度測定装置も導入し骨粗鬆症の治療も精力的に行っています。

 
   
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(2016年5月26日更新)